物語
昭和初期、とある田舎町「内杜」。
東京で新聞記者をしていた若狭浩己は、日頃から上層部に睨まれていたこともあり、怪我の療養を理由に会社から休暇を出されてしまう。
仕方なく故郷の内杜で怪我が治るまで過ごすことにし、数年ぶりに帰省すると、町外れに見慣れない屋敷が建っていた。
「あんま首突っ込まない方がいいぜ。神忘れのガキがいるんだ」
神忘れ。
生まれつき髪が白い者を「生まれる前に神が色を塗り忘れた、神に忘れられた不吉な存在」として忌み嫌う悪習が未だに色濃く残る自分の故郷に辟易とした浩己は、その屋敷に住む神忘れの少年カイナと町の人々の間を取り持とうと決意する。
神忘れも普通の人間だと、町の人々に知ってもらうために。